パキスタンのIT人材

 南西アジアは、延べ人口が約20億人、平均年齢が若い労働人口が豊富な地域です。中でもインドは、毎年 150万人以上の理系人材を輩出していることから、IT人材の供給元として注目を集めています。しかし同国の情報通信系有名校出身者は引く手あまたであり、一般的に給与水準が高い。

それでは、同じ民族であるパキスタンはどうでしょうか。

１）パキスタンIT産業概要

1. IT産業は高成長を遂げているが、産業規模は39億ドル（名目GDPの1.5％）で黎明期（2020/21年度）といえる。
2. 2022/2023年度（2022年7月～2023年6月）のIT輸出総額は23億ドル。
3. 輸出の75％以上をソフトウェア開発およびITサービスが占める。
4. 「フリーランスへの発注先として人気のある国」第4位（2017年、OII）。

２）パキスタンのデジタル人材の概要

1. パキスタンでは大学の講義は主に英語で行われているので、パキスタン人デジタル人材は英語がとても堪能。訛りがあまりなく、聞き取りやすい。
2. 毎年2万5,000人のデジタル人材が輩出されている。そのうち、67%は学位を持っており、31%は修士号を持っている。
3. パキスタンは世界4位のフリーランスへの業務委託先として急速に成長。多くの人材が企業に所属しながら、フリーランス契約の仕事をする。
4. 外国企業への就業意欲が強い。

３）パキスタンのデジタル人材の総合力

1. 英語が堪能
2. 高いスキル
3. グローバル企業で働く意欲が強い

（出展：パキスタンのデジタル人材調査報告）

インドとパキスタンの違いは何でしょう。宗教、民族、政府の方針･･･　私は教育の違いを上げます。カースト制度がパキスタンにもあることをお話ししました。カーストは身分階層だけでなく職業継承です。古いしきたりの中にない新しい職業ならばカーストに縛られることはない。IT産業はその産業の一つなのです。従って下層階級出身で優秀なエンジニアはIT産業に従事し世界に出ていく･･･。もちろんインド民族が数学に秀でた民族であることを前提にしています。

7月からコンピュータプログラミングの講習の手伝いをしています。若いパキスタン人にコンピュータスキルを持たせて自立させることを目標にしています。英語の基礎があるのでプログラミングを教えるのは楽ですね。若い人は吸収力が早いので３回の講習後には簡単なゲームが作成できるようになりました。彼らを見ていると、50年前に初めてコンピュータに触れた時を思い出します。

私は彼らに
コンピュータスキルがあれば、世界中から仕事を請け負っていくことができる。その職場は欧米でなくとも。パキスタンでも中東でもアフリカでもできる。仕事を得るため（仕様交渉を含む）の英語とコンピュータスキルを身に着けておけば将来が開ける。
と言っています。

９月の日曜日に、Microsoft Office の講習を行います。Wordを用いたPOP（広告）やExcelのマクロくらいはできるようにしてあげたいと思います。