パキスタンはどんな国(9) 地下経済

 業者との取引において、小切手、振り込み、現金などでの支出形態があります。振り込みでは振り込み手数料が発生します。パキスタンでは小切手の振出が一般的です。小切手を受け取ると銀行に出向き振り込み先(自分)の口座に入金され、それを引き出すことで現金化されます。

業者は小切手ではなく現金の支払いを望みます。銀行口座を開設していない、銀行が遠いので小切手を換金するのにガソリン代が必要になる、銀行に行くと作業時間が無くなる、等々いろいろ言ってきます。シナサンは、原則、小切手での支払いができない業者とは取引しません。できるだけ小切手が使用できる業者を選択します。

では、なぜ現金での取引を希望するのか。銀行口座を通すと歳入庁(税務署)に把握され税金が発生します。それを回避するためと考えられます。Sales Tax(消費税)が20%ですから売り上げが20%減るということになります。それを回避するために現金での取引を希望している、というように考えられます。一般商店でもクレジットカードが使用できない店のほうが多いです。クレジットカードが使用できてもクレジットカードの決済手数料として5%上乗せされます。私は、このクレジット手数料を払いたくないのだと思っていましたが、どうもSales Tax(消費税)を回避するためのようです。現金決済をしてSales Tax(消費税)の対象にしなければ、統計上取引は表出しません。

また、パキスタンではメイド、コック、庭師、掃除夫、ベビーシッター、運転手など現金で給与を支払う取引があります。これらの所得も統計では把握されません。

と、考えてくると、政府が把握されない経済(統計)データの存在を疑うことができます。これら政府が把握されない経済活動を地下経済と呼び、それは以下の5種類があります。

  1. 犯罪行為
  2. 違法行為
  3. 報告されない経済
  4. 記録されない経済
  5. 非公式経済

パキスタンの地下経済は、これら5種類すべてがあるように感じます。

パキスタン政府には、資金がなく、IMFや各国からの融資に期待しているのに、国民には悲壮感がなくスタグフレーションへの対応もしないようにも見えるのは地下経済が発達しているからとも考えられます。

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